私にはアスペルガー症候群(ASD)だと診断された夫がいます。
現在6年生の息子にも、同じ診断がついています。
それに起因する困り感に、本人たちも、そして周りの家族も、とても悩まされてきました。
アスペルガー症候群って治るの?
お薬ってあるの?どんなお薬があるの?
という疑問を持った方に読んでいただきたいと思います。
アスペルガー症候群を治す薬ってあるの?
ずばり、
ありません。
障害から生じる二次障害(うつ病や適応障害など)の治療のために薬が処方されることはありますが、それは「不安感やイライラや眠れない等の症状を和らげるため」のお薬であり、「アスペルガー症候群を治す」というお薬はありません。
そもそもアスペルガー症候群というのは発達障害の一種であり、発達障害は「脳の特性により、社会生活を送る上で支障がある状態」のことなので、治るものではありません。
アスペルガー症候群に対しては「治す」ではなく「適応して暮らしやすくしていく」という目的をもって対応していきます。
お医者様によっては簡単な説明で済ませる方もいらっしゃるかと思います。
はっきりと「何についてのお薬を飲むのか」は理解して服用しましょう。
アスペルガー症候群に効く薬があるって、ネットで見たんだけど・・・
あのね、ありません。
では、なぜそのような情報が散見されるのでしょうか。
私の考察ですが、恐らく3つの原因が考えられるのではないかと思います。
1.発達障害/二次障害の認識のズレ
- アスペルガー症候群(一時障害)・・・先天的な脳機能障害である「発達障害」の一つ。社会性・コミュニケーション・想像力・共感性・こだわりの強さ・感覚の過敏などにより、社会で生きていくことに支障がある状態
- 二次障害・・・発達障害などの一次障害を原因として、周囲からの理解を得づらい環境で、繰り返し注意されたり、不安な経験をしたりすることで自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害、ひきこもり等の症状が発生している状態
どこまでが「脳の特性」によるものなのか、どこからがそれによる二次障害によるものなのか。
その状態にある原因をはっきり認識する必要があります。
ここができていなくて、例えば本来「自己肯定感が下がったことにより不安感が強くなってしまった」が事実であるのに対してその経緯をすっ飛ばして「ASDだから不安感が強い」という認識になってしまうと、不安感を治す=ASDを治す、というズレた認識になってしまうケースもあるように思います。
2.ASDの特性による理解の難しさ
医師の説明をうまく理解できていないケースです。
これはASDの特性によるワーキングメモリーの低さ等、その方の不得意部分が絡む場合もあるだろうし、そうでない場合もあるかとは思います。
どちらにせよ口頭での説明の理解が難しく、「発達障害について受診したらお薬をもらった」という事実から「発達障害を治す薬」と誤解してしまう場合があると思います。
3.ADHDに対するお薬と混同してしまっている
発達障害の一種である「ADHD」については、対症療法ではありますがいくつかお薬があります。
コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、の3種類です。
※こちらも「ADHDを治すもの」ではなく「ADHDの特性を緩和するもの」です。
ASDとADHDを併せ持つ人は多いので、これと混同してしまっているケースもあるかなと思います。
じゃあ、どうしたらいいの?
最初に説明した通り、発達障害の困り感については、「治す」ではなく「工夫して軽減していく」が基本的な考え方となります。
発達障害の困り感の出方は、本当に人それぞれ異なっているため、その人に合った対処方法を試行錯誤していく必要があります。具体的な方法についてはカウンセリングで相談するのも良いと思います。
また、「腸は第二の脳」と言われています。腸内環境を整えることによって脳にも良い影響をもたらし、自律神経が整って暮らしやすくなる人もいるようです。こちらの記事も参考にしてください。
発達障害は「治すもの」ではない。脳の特性なので、それ自体は治らない。
よって、「ASDを治す」というお薬も存在しない。
ただ、生活の中で工夫をすることで困り感を軽減させて暮らしやすくすることは可能である。
ASD者が二次障害を引き起こしていたりADHDを併せ持っている場合、それに対してお薬を服用する場合はあるが、あくまで対症療法であり、その目的は「ASDを治す」ではない。
ASDは治りません。でも、絶望的な気持ちになる必要はなくて。
暮らしやすくするための工夫はいくらでもできます。
発達障害の診断がついていない人も、自分の苦手分野には何か対策を取ったりしますよね。
診断の有無にこだわりすぎず、個々に合った工夫をしていけたら良いのかなと思います。
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